都市計画のデータ分析(全20回)
経年変化を追う
-2時点比較を「型」に分ける-
第 16 回 第Ⅳ部|時系列・応用
2時点・3時点の比較を設計し、変化のパターンを類型化できるようになる
今日の主役
変化量・変化率の計算と、4象限による変化パターンの類型化
なぜ重要か
一時点の断面だけでは「今後どうなるか」の手がかりが得られないから
類型化の考え方
2つの指標の変化量を縦横の軸にとり、4象限に分けて名前をつける。単なる増減の記述から「型」の発見へ。
STEP 1 比較を設計する
2時点(できれば3時点)のデータを用意し、同じ地区・同じ指標定義で揃える。
STEP 2 変化量・変化率を計算する
「後の値-前の値」(変化量)と「変化量÷前の値」(変化率)を両方算出する。
STEP 3 4象限・多象限で類型化 複数指標の変化を組み合わせ、地区ごとの変化パターンにラベルをつける。
拠点候補地の滞留人口密度と施設密度の2指標について、
複数時点の変化を組み合わせて5つの変化パターンに類型化
使われている手法
2時点比較の変化量・変化率計算、多象限による変化パターンの類型化
問い
拠点として機能を補完すべき候補地は、経年的にどのような軌跡をたどっているか
室岡太一・松場拓海・川合春平・谷口守 (2024)「拠点候補地の経年的変化実態-広域的な機能補完に向けて-」土木学会論文集, 第80巻, 第1号, 論文ID 23-00096, DOI: 10.2208/jscejj.23-00096, 図-8.
図-8 滞留人口密度と施設密度の変化パターン
読み方 横軸・縦軸に2指標の変化量をとり、点の位置で各地区を5類型に分類している。
この図から 「人は増えたが施設は増えていない」など、単純な増減では捉えられないズレが見えてくる。
① 2時点だけの罠 2時点だけの比較は「たまたま」の変動を拾うことがある。可能なら3時点以上で確認する。
② 変化率か変化量か どちらで見るかで分類結果が変わる(例:元の値が小さいと変化率が過大に出る)。両方を確認する。
③ 外的ショックの影響 災害や制度変更など、指標の変化が政策そのものではなく外的要因による場合がある。
プロンプト例 1
「2時点のデータから変化量と変化率を両方計算して、4象限(増加×増加、増加×減少、減少×増加、減少×減少)に分類して」
プロンプト例 2
「変化パターンごとに代表的な地域を3つずつリストアップして、それぞれの特徴を要約して」
※ 類型の名前(「成長型」等)はAIの案をたたき台にしつつ、自分の問題意識に合う言葉に調整する。
経年変化は「増えた・減った」で終わらせず、
2つの指標の変化量の組み合わせで型に分ける。
復習リンク
第9回 類型化・クラスタリング / 第12回 コロプレス図
次回(第17回)
OD・人の動きの分析 —— 「どこからどこへ」を表で読む
基本課題
e-Statの国勢調査(2015年・2020年)で市区町村の人口・世帯数を取得し、変化量・変化率を計算して4象限で類型化し、立てた問いに答える。
例:どの地区で人口と世帯数の動きがズレているか。
発展課題
類型化に別の指標や別の期間を1つ加えて比較する。仕上げに、①その比較でオリジナリティが出せたか、②結果が誰の役に立ちそうか(例:拠点整備を検討する自治体担当者)、のどちらかを1文で。
使用データは無償のオープンデータに限る。進め方(全回共通):①問いはまず自分で考える(AIに頼る前に) ②AIの出力は別の方法で検算し、再現性を確かめる ③Excelは数式を残す/コードは # でメモを残す ④「作る」で終わらせず、問いへの答えまで自分で出す