都市計画のデータ分析(全20回)

多変量①:次元縮約

−主成分分析で多変量を1枚に要約する−

第 8 回 第Ⅱ部|統計分析

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今日のゴール

たくさんの指標を、少数の軸に要約して
読み解けるようになろう

今日の主役

主成分分析(負荷量・寄与率・軸の解釈)

なぜ大切か

多くの指標を眺めるだけでは全体像がつかめないから。まず少数の軸に圧縮できないか?

2

導入多くの指標を、1枚に要約したい

PC1 PC2 分散が最大になる方向に第1軸を引く

各拠点を着トリップ数・滞在時間・交通分担・施設利用…と多数の指標で測ると、全体像が見えにくい。

主成分分析 情報をなるべく保ったまま、点群を2〜3本の軸に圧縮して1枚で眺める。

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概念主成分・負荷量・寄与率

主成分

元の指標を組み合わせた、分散が最大になる合成軸。少数の軸で全体を代表させる。

負荷量

各元変数がその軸にどれだけ効くか。符号と大きさで軸の意味を読む。

寄与率・累積寄与率 その軸が全体の分散の何%を説明するか。上位の軸を足し上げた累積寄与率で、少数の軸でどこまで圧縮できたかを見る。

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手法3ステップで軸に意味を与える

STEP 1 変数を標準化する

単位や分散が違う指標を、平均0・分散1にそろえる。

STEP 2 主成分を抽出する

分散が大きい順に第1・第2…主成分を取り出し、寄与率を確認する。

STEP 3 軸に意味を与えて命名する 各主成分の負荷量を見て、どの指標が効いているかから軸の意味を読み、名前を付ける。ここで多変量が解釈可能な少数の軸に変わる。

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研究例拠点への人の動きを、少数の軸で整理する

拠点への人の動きに関する多数の指標を主成分分析し、
少数の軸で各拠点の特性を整理する

使われている手法

主成分分析(負荷量・寄与率で軸を解釈:今日の内容そのまま)

ポイント

交通手段・施設利用など多くの指標を、交通や施設の観点をもつ軸に圧縮する

室岡太一・小林泰輝・谷口守 (2022)「人の動きに見る都市機能誘導区域の設定課題-広域的な視点から-」都市計画論文集, 第57巻, 第3号, pp.1218-1225, DOI: 10.11361/journalcpij.57.1218.
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室岡太一・小林泰輝・谷口守 (2022)「人の動きに見る都市機能誘導区域の設定課題-広域的な視点から-」都市計画論文集, 第57巻, 第3号, pp.1218-1225, DOI: 10.11361/journalcpij.57.1218, 図-2.

研究例結果を読む —— 負荷量で軸の意味を読む

図-2 拠点への人の動きに関する変数と主成分負荷量(5主成分の負荷量・固有値・寄与率・累積寄与率)

図-2 拠点への人の動きに関する変数と主成分負荷量

読み方 第1主成分は鉄道(0.83)などが高く「トリップ集積・公共交通軸」と読める。寄与率は21.8%。

この図から

5軸で多数の指標を圧縮でき、各軸に交通・施設の観点で名前が付く。

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落とし穴圧縮するときの注意

① 標準化を忘れていないか 単位や分散が違う指標をそのまま使うと、分散の大きい変数に軸が引きずられてしまう。

② 軸の解釈を客観的だと思っていないか 負荷量からの命名には分析者の解釈が入る。別の見方はないか。

③ 寄与率の低さを見落としていないか 第1・第2軸の説明割合が小さいと、圧縮で捨てた情報がそれだけ多い。

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AIアシスタントと使うなら

プロンプト例 1

「複数の指標を標準化して主成分分析し、負荷量と寄与率を出して」

プロンプト例 2

「各主成分の負荷量から、軸に合いそうな名前の候補を挙げて」

※ 軸の意味づけは、自分の分野の知識と照らして確かめると安心。

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まとめ次回予告

多変量は主成分で少数の軸に要約し、
負荷量で軸を解釈できないか

復習リンク

第2回 記述統計と分布を読む / 第7回 2変数の関係②:連続量間

次回(第9回)

多変量②:類型化 —— クラスター分析で「型」を見つける

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Workオープンデータで練習する

基本課題

e-Statの「地域別統計データベース(社会・人口統計体系)」等から市区町村の複数指標を取り、主成分分析を行うと、第1・第2主成分はどう解釈できるか。

発展課題

負荷量から各軸に名前を付け、「何が言えて何が言えないか」を述べる。締めに、①分析にオリジナリティが出せたか/②結果が誰の役に立ちそうか、のどちらかを1文で。

使用データは無償のオープンデータに限る。進め方(全回共通):①問いはまず自分で考える(AIに頼る前に)/②AIの出力は別の方法で検算し再現性を確かめる/③Excelは数式を残す・コードは # でメモを残す/④「作る」で終わらせず問いへの答えまで自分で出す。

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