都市計画のデータ分析(全20回)
2変数の関係②:連続量間
−相関と、群で符号が変わる生態学的相関−
第 7 回 第Ⅱ部|統計分析
相関係数・散布図を読み、
疑似相関と生態学的相関を見抜く視点を持てると、どう変わるか
今日の主役
相関係数・散布図・モデル当てはめ(線形/対数近似など)
なぜ大切か
「関係がありそう」に見えるグラフほど、鵜呑みにすると読み違えやすいから
疑似相関 X と Y に直接の関係はなくても、両方に影響する第三の変数 Zがあると、X と Y の間に見かけの相関が生まれる。
相関係数だけを見ても、この三角形(Z の存在)は見えてこない。
STEP 1 散布図を描く
相関係数を計算する前に散布図を見ておくと、直線的か、曲線的か、外れ値はないかが目で確かめられる。
STEP 2 モデルを当てはめる
関係の形に応じて線形近似・対数近似などを試し、決定係数(R²)で当てはまりを比較する。
STEP 3 第三の変数・群のチェック 関連しそうな第三の変数(都市規模・地域性など)で群を分け、それを踏まえても関係が残るか、符号が変わらないかを確かめる。
市区町村ごとの居住誘導区域の面積率と徒歩・自転車分担(Act)を散布図にすると、
全体と「地域で分けたとき」で、印象が変わらないか
使う手法
散布図+相関係数。全点をまとめた相関と、地域で層別した群ごとの相関を見比べる
問い
「区域が広い自治体ほど、よく歩く」と言ってよいか。群で分けても、その符号は保たれるか
生態学的相関 全点の相関(左, +0.27)は「広いほど歩く」に見えるが、地域で層別すると各群は負(右)。集団単位の相関を個人の関係と取り違えた例。
疑似相関との違い
疑似相関=第三の変数Zで無関係が有関係に見える。生態学的相関=集計の単位を変えると符号まで変わりうる。どちらも群・単位への注意で防げる。
① 相関があっても因果があるとは限らない 「AとBが同時に動く」ことと「AがBを引き起こす」ことは別問題。
② 疑似相関を見落とす 見えていない第三の変数(都市規模・地域性など)が両方に影響していないか、を確かめたい。
③ 生態学的相関(集計の単位に注意) 都道府県平均など集団単位の相関を個人の関係と読み替えると、符号まで取り違えうる。群で分けても符号が保たれるか。
プロンプト例 1
「この2変数の相関係数と散布図を出して、対数近似と線形近似の当てはまりを比較して」
プロンプト例 2
「相関が強い変数の組み合わせを総当たりで探して、疑似相関の可能性がないか教えて」
※ AIが提案した「疑似相関の可能性」も、実際にデータで確認してから結論づける。
相関係数の前に散布図を見る。
因果・疑似相関・生態学的相関を区別する視点を持てると、どう変わるか。
復習リンク
第6回 2変数の関係①:カテゴリ間 / 第2回 記述統計と分布を読む
次回(第8回)
多変量①:次元縮約 —— 主成分分析で多変量を1枚に要約する
基本課題
問いを1つ立て(例:人口密度が高い市区町村ほど商業施設は多いか)、e-Statの地域別統計DBから市区町村の2変数を選び、散布図を描いてから相関係数を計算すると、印象と一致するか。
発展課題
都市規模や地域などで群に分け、群ごとに相関係数を出して符号や強さの違いを解釈する。締めに、①オリジナリティが出せたか/②誰の役に立ちそうか(具体的に1つ)のどちらかを1文で。
使用データは無償のオープンデータに限る。進め方(全回共通):①問いはまず自分で考える(AIに頼る前に)/②AIの出力は別の方法で検算し再現性を確かめる/③Excelは数式を残す・コードは # でメモを残す/④「作る」で終わらせず問いへの答えまで自分で出す。